壁抜け男の謎

壁抜け男の謎   有栖川有栖


16篇の短編集。
今まで、作者と同名の作家が出てくるシリーズくらいしか読んだことがなかったせいか、この本は新鮮だった。
良い意味でも悪い意味でもねっとりとした物語が多いように感じた。
特に最後の「恋人」では、作者名を確認するほど意外な官能作品。あとがきで見ると、「エロティシズム12幻想」に収められている作品だと知って納得。
16篇をすべて読んで思うことは、有栖川先生を見直した、こういう作風も書けるんだね、ということだ。あの火村シリーズよりこっちのほうが好きだな。グロテスクな風なところが。
火村シリーズや従来の有栖川作品が好きな人には、あまりお勧めできない…かもしれない。