メドゥサ、鏡をごらん

メドゥサ、鏡をごらん     井上夢人


ホラーだった。
セメント漬けになって自殺した作家・藤井陽造の怪死について。
その娘の婚約者からの視点で話は綴られている…が、ある数十年前の悲劇が呼ぶ怖い物語。完結していない、ともとれる怖さが残る作品。

ホラーが苦手な私だけれども、大丈夫だった。確かに悲劇のくだりは怖いと思ったけれど、この世界には入り込めなかったのかもしれない。いや、入り込めたけど…なぜか怖くなかった。
アマゾンの評価が意外だった。
そんなに秀逸な作品だとは思わなかったけど、そんなに酷い作品でもないと思うから。
クラインの壷」とどこか通じるものがあるような気もする。
しかもより内容が濃いと思うし。
評価がバラバラなのは、読者の感性の違いがでる作品、という面白い見方もできる。みんなが100点だす作品は少ないと思うけど、みんなの評価が100点だとか、40点だとか、ばらばらな作品もいいね。
私がこの作品に点数をつけるとしたら、60点。
内容は好みではない。
けれど、作りこまれた描写と世界はやはり凄い…ということです。