チョコレートコスモス

俳優、作家、プロデューサー、お芝居に携る人たちの話。

いろいろな人物が一つの舞台作品に向かって収束していく。

その作品とは、大御所のプロデューサーが新しい劇場の杮落としに舞台やるというのだ。
それを作り上げるメンバーを探している、という話。
一つ一つの場面の内容がとても濃い。
オーディションの時間を共有しているかのような長さだった。
プロデューサーが目をつけた人たちのそれぞれのストーリーが、最後に集まっていく感じが、さすが恩田陸と思わせる。


・「女二人が主役」の作品を依頼された作家は、受けるべきか受けざるべきかで葛藤していた。

・また、大学の演劇サークルでは突然現れた入部希望の新入生に度肝を抜かれていた。演技経験なし、なのに凄い。その凄さは才能からくる凄さなのか、それともズブの素人だからこそ感じる新鮮さなのか、まだ判断しかねていた。

・若手実力ナンバー1の女優は、自分の進む道に疑問を抱いていた。
両親も芸能界で、小さい頃から自分で選ぶことなくこの道に入っていた彼女は、才能もあり、周りからは羨望のまなざしで見られているにもかかわらず、友達が進路を悩んでいる姿を見てから、自分の中で迷いが生じていた。
この道で生きていく決心がまだついていなかった。

ストーリーの展開も私好みだった。
「ドミノ」とテイストはかなり違うが、話の組み立て方として通じるところがあると私は感じた。