六番目の小夜子

六番目の小夜子 恩田陸

恩田陸先生のデビュー作。
そして、私が初めて読んだ恩田陸作品でもある。活字中毒気味の友人の薦めで、この本を読んだ時の印象は「ホラー小説」だった。
だけど、つい最近読み直してみて、ホラー小説という印象に少し変化が加わった。
ある高校でずっと10年も続けられているゲームがある。
そのゲームは「自分が【小夜子】であることを知られてはいけない」こと。その目的は良い大学への進学率。失敗すればその年は最悪、成功すれば、過去最高の進学率。有名大学への合格率が左右されるゲーム。
ひっそりと、【小夜子】に選ばれたものは卒業するその日に、次の【小夜子】へと【鍵】を渡し、次の【小夜子】が君だということを教える。
選ばれた小夜子は新学期始まりの朝、自分のクラスに赤い花を花瓶に生ける。
小夜子は別に女子だけだとは決まっていない。
男子学生でも選ばれる。
六番目の小夜子が選ばれているにもかかわらず、新学期の朝、選ばれた【小夜子】以外に【鍵】を持ち、赤い花を生けた学生がいた。
転校生の美少女、名前は「津村小夜子」。

恩田陸さんは「学校」や「学生生活」に拘りを持っている。
このテーマはやっぱり学校だろうと思う。
日本人ほとんどが学校を経験していることからも、想像しやすく物語に入りやすいテーマ。
でも、この本は半分私の知っている学校で、半分は知らない未知の世界が広がっている。そこを感じることができたのが2度目に読んだ今回かな。
あとがきにも書かれているが、この本はファンタジーノベル賞に応募し、大賞候補までなって出版されたものだそうだ。酷評された、と書いてあった。
絶版にもなったが、また復活できた本。
恩田陸さんの作品を読むなら、この原点でもある作品も読むと恩田陸さんの世界が少し見えてくるかもしれない。