夜のピクニック

夜のピクニック  恩田陸
吉川英治文学新人賞本屋大賞受賞作。
作者の母校に本当にあった恒例行事、「歩行祭」がこの本の舞台。朝の八時から数時間の仮眠を挟んで翌朝の八時までただただ歩くこの行事で、高校生活に散りばめられた小さな謎を話したり、過去の出来事を振り返ったりしながら、主人公2人の因縁が明らかになっていく。
主人公は高校三年生の西脇融と甲田貴子。この二人の因縁とは何なのか。そして貴子が心に秘めた「賭け」の行方は。
私はこの本を読んで、「黒と茶の幻想」を思い出した。
黒と茶の幻想」に、若々しさと甘酸っぱさを足した作品が「夜のピクニック」かな。
自分が高校生だった時に考えていた事、悩んでいた事、今ではくだらないと思えるよう、でもその時は一大事だった事件とか、噂話や、学校という一種独特の空間の中で過ごしたあの時間や匂いを、懐かしさと甘酸っぱさと共にまた感じることができた。