クラインの壷

この文庫がすごい!で1位に輝いた作品「99%の誘拐」を書いた岡嶋二人最後の作品「クラインの壷」を読んだ。
岡嶋二人はコンビ名だから、最後の作品といっても、コンビ最後の作品だ。といっても最後のほうは井上さん1人で書いているようなものだとも聞いたけれど。

99%の誘拐では、読んでいてすごく興奮させられた。久しぶりにあんなにわくわくさせられる作品を読んだと思った。
それで、最後の3部作を読む気になって、上記の2つとそして扉は閉まった(だっけ?)を読んだ。


以下ネタバレ




クラインの壷は期待していただけに、正直肩透かしを食らった気分だった。確かに面白い設定だし、アメリカの病院の記事が出てきたあたりから少しわくわくもした。だけど、まとめが締まっていないように感じた。
もちろんハッピーエンドにしろとかそういうちんけな要求じゃない。夢かうつつかの疑心暗鬼に囚われながら、自殺を決意するなんて、私の持っている「本」の美学に反している。本というのはやっぱり始まりと終わりがあってこそだと思うんだ。
それなのに、永久に迷路の中をさまようがごとく衰退していくような話はすきじゃない。
ましてコンビ最後の作品にこんなエンドを作る気が知れない。
もちろん個人の好みによるものだろうが。

99パーセントの誘拐は最高に面白かった。