小説を読む面白さ

私は小説を読むことが、文章を読むことがすごく好きだ。
そして東野圭吾作品、白夜行のドラマ化について少し残念に思うことがある。

それは、これから小説を読む人の楽しみを奪ったことだ。
ドラマ効果あって小説の売り上げがベストセラーに輝いたことは、出版業界の思惑通りで、本を普段読まない人が読むというメリットもあった。多くの人が小説の白夜行にも興味を持ってくれたことが嬉しい。
けど、残念でたまならないのが、その「白夜行」という小説構成の特異性にある。
小説を先に読んだ人はいい。
あの興奮と構成をすべて見たあとに、ドラマの映像と音響を楽しめる2重の楽しみ方ができるから。

でも、ドラマを見た人が小説を読むメリットがこの白夜行に関して言えばほとんどない。
もちろん時間が圧縮されいろいろな背景や事件の詳しい顛末を知る有効な手段には違いないが、あの高揚するような興奮を味わえないだろう。
なんてたって、ドラマで全体像が見えてしまっていて、鉄骨を1つ1つ組み立て、やっと完成したときのビルのようなあの世界を構築する楽しみがないからだ。完成したときの達成感もない。

ドラマを見てから小説を読んでも、ドラマの方が面白いと思うに違いない。
私は、あの話は好きじゃなかった。正直に言って。
それは好みの問題だから。
でも、あの世界のすごさは分かる。
だからそれが踏み潰されるのは悲しい。

ああ。でも、それは「白夜行」という作品に限ったことであって、全体的にみれば、効果の高い方法だとも思える。
ドラマになることによって、東野氏のファンは増えるだろう。必然的に本に興味を持たせることになる。
そうすれば読書をする人も増え、その人の子供も読む習慣をつけ、日本の国語力のアップに繋がるかもしれない。

もちろんおおげさに言えば、だが。