上と外

上と外  恩田陸(1〜6巻または上下巻)

この本は隔月連続刊行で1巻から始まり、5巻で完結する予定だった。
そして、その5巻完結という予定は嬉しい誤算により変更され、6巻まで続いた。
好きな本は即日完結まで読み終わりたい私としては隔月刊行は本当にじれったいものだったけれど、これに関してはワクワクと童心にかえったようで待っている間も楽しかった。

これは「成長」の物語。
世界は現実から非現実へと、必然であるかのように自然に誘導されていく1巻。これが始まりだ。大学受験に失敗して浪人生だった私は、6巻の最後のメッセージに感動したのを覚えている。
これはぜひ高校生や中学生にも読んで欲しい。また、いろんな視点がこの物語にはあり、男親の視点、女親の視点。息子の視点、妹の視点。
「家族」という言葉が二つ目のキーワードだ。
奥が深く、この本はまさに恩田陸氏の傑作と言えるだろう。
彼女の作品でまだ未読のものがいくつかあるが、私が読んだ中ではこれが一番好きだ。