プラスティック

プラスティック    井上夢人

新婚の向井洵子の不可思議なフロッピーディスクより始まる物語。
夫の出張帰りを待ちわびる新妻にひたひた迫る恐怖。
誰かのレビューでは途中で結末が見えてきたと書いている人がいたけど、私には衝撃の事実だった。伏線は確かにあったけど、まさかそんなことがあるわけないとなぜか思っていたようだ。この事実を知らないままで是非読んでみて欲しい。

最後までとうとうピースがバラバラでぜんぜん収束していく気配すらなかったのに、最後の事実ですべてが同じ画面に入ってまとまってしまった。練って練っての作品なのだろう、と感じた。
他の井上さんの本よりもネチネチした印象を受けたのは私だけだろうか。取り扱った内容が内容だけに…の結果なのかもしれないけど。
ずっと謎だったプラスティックの意味も最後のピースに納得。分かった時はまた一つ言葉の語彙を増やした気持になった。
文章を読んでいて、途中少し混乱して疲れたりもしたけど、言葉って面白い。