ダレカガナカニイル

ダレカガナカニイル   井上夢人

岡嶋二人の解散後初のソロデビュー作品。
殺人、SF、宗教団体、恋愛、とすべてのジャンルに当てはまるが、そのどれもが上手く一つの世界にまとまっている作品。
警備会社で勤めている主人公は、暇つぶしにお客の家を盗聴し、それがバレて辺鄙な勤務地へ左遷される。そこは、宗教団体と周辺住民とが激しく対立する激戦地だった。対立、というよりは一方的に周辺住民が過激な活動をして宗教団体は護りの姿勢で堅く門戸を閉ざしている状態だ。
主人公はその宗教団体を24時間警備する仕事に就く。あまりの周辺住民の嫌がらせと暴挙に辞めていく警備員が後を絶たない激務。

その着任日に事件が起こる。


宗教団体の教祖が焼身自殺をしたのだ。
この事件をきっかけに主人公は仕事をくびになる・・・。

本当に冒頭部分の説明しかしていないけれど、物語はこれから全てが始まる。これまでたくさんの本を読んできたけど、こんな展開や世界観は初めてだった。
すべては現実的で、SFだけど、SFの枠に収まらない何かがあった。


この本にでてくる宗教団体が使う「ポワ」なるもの等、まるである某宗教団体を思い起こさせるが、気にならない程度だと思う。気になる人は辞めたほうがいいかもしれないが。